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#1
新潟の原点
新潟に来ると、光の入り方が少し違うと感じます。強く主張するわけではなく、静かに広がりものの輪郭をやわらかく浮かび上がらせる澄んだ光です。山と海が近く、空がひらけ、時間の流れもどこか穏やかです。
この土地の空気や気配の中で、DRESSのオーナーシェフ三田正樹は生まれ育ち、洋菓子の基礎を学びました。
基礎を一つずつ身体に入れながら、素材の扱い方や温度の見極め手を動かすリズムを覚えていく。新潟の穏やかな空気の中で、技術より先に「丁寧さ」が癖になっていきました。
三田は洋菓子学校を卒業後、帝国ホテルへ。10年という時間をかけて、伝統ある場所で菓子づくりの基本を徹底的に学びます。毎日同じ品質で仕上げること。小さな違和感を見逃さないこと。ホテルの華やかさの裏側にある、地道でまっすぐな積み重ねがここで確かな芯になります。
新潟へ戻り、2021年10月。
ある秋の日に、新潟に「DRESS MITA MASAKI LAB.」をオープンしました。この土地の静けさや、澄んだ光のように強く語らずとも伝わるものがある。そう信じてお菓子と向き合い続けています。新潟という原点は菓子づくりの姿勢の土台として息づいています。
そしてもうひとつ。
この土地の実りも、時折お菓子の中に映ります。新潟で採れた果実を選び、その香りや季節の輪郭を、静かに写し取ることがある。たとえば「新潟ヴェルジュ」。果樹園の名のとおり、土地の気配をまとった果実の表情を、丁寧に焼き上げています。